#ikinokotta × ラビアナ instaLIVE
・被害に関する具体的な内容が含まれるので、トラウマやフラッシュバックからご自身を守って無理せずご覧ください。
・ikinokotta はジェンダーアイデンティティを問わず“すべての女性、女性差別に抗議する人のスペース”です。
菖(ファシリテーター #ikinokotta 運営)
小林 (#ikinokotta 運営)
事前に募集した女性差別体験を元に、問題点や感じたことを話し合いました。
①『家事育児は女性の仕事。それが疎かになるなら働くな。』今、2021年だけど?
②住宅系の面接でおじさん面接官に『うちの営業は男ばかりだけど大丈夫?』と言われた
③不動産屋で自分にはタメ口。電話をお父さんに変わった途端に平謝り。
④会うたび私の胸の大きさに言及してきて、いじりとして『どうして小さいの?』と聞いてくる先輩
⑤父の兄弟の1人が、兄の名前は呼んでいるのに私の名前は呼んでくれない
⑥ジムに通っていて女性というだけで男性からジロジロ見られる。肌はなるべく出さないようにしているけど、でもトレーニングをするためにはタイツなどシルエットが出やすいような服を着る必要がある。望まないタイミングで性的消費されているなと感じることがある。性的消費の目線や、アリ/ナシを勝手に判断されていることはわかっている。こういうことを知り合いの女性に相談しても自意識過剰じゃない?と言われることがあって傷つくので、相談相手を慎重に選ばないといけないし、相談自体できないことがある。
『家事育児は女性の仕事。それが疎かになるなら働くな。』今、2021年だけど?
ラビアナ 女性が家事育児をすることが当たり前になりすぎていて…よくあるのが、子供とか家って女性だけのものではないじゃないですか。なのに女性がするみたいな風潮って日本だと特に強くて、自分で汚したものを自分で掃除できない人って男性だとすごく多いかなと思って。『家事育児は女性の仕事』と言う風潮があることを男性の皆さんに知って欲しいなと。今この配信を聞いている男性にも、こういう意識がないか、今一度改めてほしいなって思います。
菖 私の職場でも結婚していて子供がいる女性社員が土日出勤だと『子供、大丈夫なの?』とよく言われていたりして…それは男性にも言うべきことだよね?って思うし、そもそも言わなくてもいいことだし。
ラビアナ そうそう。しかも日本の男性の育児休暇の所得率がすごく低い現状があるんですよね。[※厚生労働省 雇用均等基本調査(2021/07/30) によると最新のデータでは12.65%]
そういうのってどうなの?ってすごく思ってて、企業、国単位で育休制度を強制していく必要があるかなと、私は思ってます。
菖 企業、国単位という点も踏まえて小林さんどうですか?
小林 私は思ったことが二つあって、企業、国単位とはちょっとズレちゃうんですけど…
実家で私は家事の担い手として存在していて、育休を取るとか制度としてできることももちろんすごく重要なんだけど、でも実際家のなかで起きてることって、制度だけで解決できることじゃないなっていう実感がかなりあるんですよね。男性が家事に参加しないのって、長年脈々と受け継がれてきてるものだなって私は感じているので、制度で育休取得できるするのは当たり前なんだけど、それぞれの家のなかではたして何が起きているのかっていうことをもっと考えたいし、男性に考えてほしいことだなって思っています。
私は家事とか分担したいって思ってるけど、それが実行できないのが家なのかなって私は思ってるので、どう解決したらいいのかわからないけど…あと、男性がこれだけ社会とか会社のなかで活躍できてるのって、家でシャツ洗ってくれたり、ご飯作ってくれる女性がいるからだなって思うんですよ。
菖 間違いないですね。
小林 育休は、育児のための休暇ですよね。でもそれ以外に、家事労働に対する考え方をもうちょっと耕したい、耕して欲しいって思いました。
ラビアナ 女性が家事育児をするっていう性役割がいつから始まってるのかって考えたときに、女の子にあげるおもちゃと男の子にあげるおもちゃってすごくはっきり分かれてて。男の子には車とかレンジャーのおもちゃを与えるのに対して、女の子にはおままごとみたいなことをさせるっていう。それはもう子供の頃からあるから、そこから改めるっていうのも必要だと思ってます。
菖 確かにそうですね。
ラビアナ おままごとする男の子は将来的に、家事育児に対して抵抗が少なくなるっていうデータもあったりしますし。あとこれは余談なんですが、家事育児に男性が参加する時間が長いほど、セックスレスになりづらいというデータもあるんですね。まず、家事育児って女性しかできないっていうものでもないから、そういう感覚は全部捨ててもらって、自分が汚したものは自分で片付けるとか、育児をする責任は自分にもあるって自覚してほしいですね。
菖 そういう相手の負担を考えてコミュニケーションを取ることが、セックスレスに繋がりにくくなるとか、あらゆる点で作用してくる気がしますね。
男は仕事、女は家で家事をするって家父長制に関連していることなんですけど、いただいた体験に、ん?どういうこと?って思ったのが一個あって。読み上げますね。
住宅系の面接でおじさん面接官に『うちの営業は男ばかりだけど大丈夫?』と言われた
菖 これ本当に言われるな〜と思って。これをどういう差別として理解したらいいのかちょっと難しくて、お二人はどう解釈しましたか?
小林 いくつかありますよね、ポイントが。全体的には性差別だが、男ばかりだけど大丈夫?っていうのが何に対して大丈夫って言ってるのか…
菖 そうですよね!男ばかりで、猥談とか卑猥な話ばかりしてるけど大丈夫?って意味だったとしたら、いやいやそんな職場大丈夫?って感じじゃないですか。
小林 私は営業の仕事をしたことがないからわかってないかもしれないけど、移動とか外回りとか体力面での大丈夫?なのか…まあ、深く考えてはないだろうってことだけは想像できますよね。
菖 いろんなことを考えてもやっとするけど解釈できない、っていう感覚が私にはあるんですけど、ラビアナさんどうですか?
ラビアナ これもう本当に、その人の中に染み付いてる女性は弱いとか、男性より体力がないとか、そういう無意識的にあるものから出てきた言葉なんじゃないかなと思っていて。そもそも営業するにも、仕事に対して、男しかできない業務なのかっていうのは疑問に思います。おそらく言った人は何も考えずに言っているんだろうけど、そこまで知識のアップデートがされてないというか、自分のなかに染み付いてる差別的意識からされた発言なんじゃないかと思いました。
菖 思うのが、男ばかりのところに女性が一人入っても快適に働ける環境が、男性にとっても快適なんじゃないかと私は思うんですけど。
小林 そこまでのアップデートすら全然できてない可能性もあると私は思っています。ボーイズクラブ的な関わりを本人たちが自覚してやってるってことは全くないと思ってるんですけど、女性が一人入っても、ジェンダーバランスが取れたとしても、誰もが快適に働ける職場こそが良い職場であるという価値観すらまずないから…自分が快適に働ける職場が良い職場で、誰もが快適に働ける職場みたいな視点は持ってないのかなって思いました。自分自身が働いてても感じることではあるし。
菖 そう考えると、この体験談くださった方がこの職場に就職したんだとしたら、今健康で快適に働けているんだろうかという不安が出てきちゃいました。
ラビアナ そうですよね。本当に最低限の、健康で安全が担保された状態で働くっていう環境がそもそも取れてないんじゃないかって思ってて。先程菖さんが言った通り、快適じゃないと思ってる男性も大勢いると思うんですよ。営業の話だと、知り合いの方からの体験談で、ご飯行ってくれたら契約してあげるよとか、そういうことを言われるケースがすごく多くて。そういうことに対して大丈夫?って言ってるんだったら、そういうことが起きるのを認知しながら許容してる職場になってしまってるんじゃないかなって思います。セクハラが普通だっていう基準になってしまってる。
菖 いや〜、本当に恐ろしいことですね。
小林 私はなってると思います。職場によるけれども、セクハラされることが当たり前で、仕事は辛いのが当たり前で。セクハラに耐えるのも給料に含まれてるって言う女性にも会ったことがあるし、私の住む世界では…それがかなり普通になってるんですよね。もちろん変えないといけないところなんだけど。私が思うのは、いろんなことが起こるけど、当たり前すぎて。それ最悪だねって思うより先に、あるよねーって思っちゃう自分がまだいるんですよ、私の中に。もちろんクソ最悪なんだが、共感するのが先に出るっていうのが結構あって…それぐらい普通なんですよね、ヤバい。
菖 わかります。
ラビアナ これも衝撃的なエピソードなんですが、今セクハラ研修とか導入されている企業も多いですよね。私が会社でセクハラ研修を受けてる時に、講師の方に「なんでこういう研修が必要なんですか?」と聞いたんですよ。そしたら講師の方が『まあ、こういう時代だからね』と言う回答をしていて。そもそも、こういう時代だからセクハラがダメってわけじゃなくて、昔も今もセクハラはダメです、と。ずっと許容してきた文化がそれを反省しないといけないのに、そこがズレてしまってるっていうのは、今も根強く残ってて、なんとなくセクハラ研修を受けたという実績作りのための研修になっているところは多いですよね。実際にセクハラをやめるためにアクション起こせるのは一握りの企業になってしまってるんじゃないかなと思います。
菖 確かに。私もこれは衝撃的な性的搾取でしかないなと思ったコメントがありまして。
会うたび私の胸の大きさに言及してきて、いじりとして『どうして小さいの?』と聞いてくる先輩 この先輩がどういう先輩なのかわからないですけど、私は職場の先輩なのかなと思って。そんなド直球のセクハラの職場ありえますかと思いました。
ラビアナ 本当にありえないですね。セクハラの線引きって難しくて、ジェンダーギャップのない国ほどセクハラの基準にライトなものが含まれるんですよ。今日可愛いねってジロジロ見られるだけでもセクハラとして認定される国がある一方で、日本のジェンダーギャップってすごく開いてて、そういう国ほどセクハラの基準が厳しいんですよね。ノルウェーみたいな国ではセクハラとされることでも日本では、セクハラとして認定されないことがあるから。そういった場面に立ち会った時にやってほしいこととして、証拠を極力取ること。メール、ラインでしつこいことを言われる時はデータは消さずに証拠として残しておいたりとか、会話とかで日常的に受ける場合は録音したりとか、そういうことしないといけないのが悔しいし苛立たしいんだけど、自分の身を守るためにして欲しいなと思います。
ーセクハラに遭ったとき身を守るためのTipsー
・メール、ラインでのセクハラは日付、時間、名前がわかるようにスクリーンショット、キャプチャを保存。
・日常的な会話などで行われる場合は、録音する。
小林 私も今絶賛職場でセクハラっぽいなというか、セクハラがあるので、実践しようと思います。もう証拠とってあるものもあるんですけど。
あと、ikinokottaのアナウンスですが、このあとikinokottaのアカウントでセクハラ、DV、性暴力の被害に遭ったときにアクセスできる支援窓口をシェアするので、これはどうなんだ?という相談からでもいいと思います。アクセスしてみてください。
菖 ありがとうございます。
ラビアナ 次からは私が読み上げますが、本当に多くて…
菖 そうなんですよね。私たちもシェアしていただいたときに、自分のあんな体験、こんな体験と思い出されることがあって、本当に誰もが経験してることなんだなと思いました。なので皆さんも、思い出して嫌な気持ちになるとか辛い気持ちがあったら自分の気持ちを第一にしていただいて、観るのをやめてくださいね。
ラビアナ セクハラや性暴力を受けた方に非はないので。100%加害者側の責任なので、そこはわかっていて欲しいなと思います。
ラビアナ 次の体験は、不動産屋で自分にはタメ口。電話をお父さんに変わった途端に平謝り。
菖 こういう、女性だっていうだけで舐めてくる人っていますよね。
ラビアナ 電話で女性が出た途端に自分が上だ、みたいな態度に出る人って本当に多いなと思っていて。私の知り合いでもこうした経験をされた方って非常に多くて、父親とか男兄弟が出てきた瞬間にコロッと態度変えるっていうのは本当によく聞く話なんですよね。
小林 私も自分が物件決める時、弟連れて行きました。舐められるって聞いたから…
ラビアナ しかもそういう時って、自分が物件借りるのに弟に話しかける感じですよね。
小林 そうそう。間取りのこととか立地のこととか、女がわからないだろうっていうのがあるんだろうなって思いました。
菖 今すごいムカついてしまったー!家で過ごしているのはあらゆる性の人が一緒だと思いますし、しかも常に身の危険を感じながら生きている女性は立地とかに関しては気を配っているが?と思いました。
小林 不動産を買うお金を持ってるのは男性だから、自分たちの客は男性って思ってるんだろうなーって、感じてました。
ラビアナ こういうことが日常的に起きているってことを、今観てるシス男性に知ってほしいなって思います。男性として生きているぶんには、こういうことって本当に起きないことだと思うので。
小林 私この前、本当に男性には起こってないんだ!って実感したことがあったんです。
シス男性の友達と喋ってて、夜道に気をつけるとか、友だちに電話するとか、タクシーに乗るとか、思ったことがなかったって言ってたんですよ。
菖 えー!そうなんですか。
小林 そう。夜コンビニ行こうかなーって思うけど、ちょっと怖いなとか、不審者情報見るって考えたこともなかったって言ってて、衝撃のギャップでした。びっくりしたの。
ラビアナ あと夜道、イヤホンで音楽聴きながら歩くのが怖いっていうのは、普段男性として生活してるとなかなか感じないことかなと思いますね。
小林 110番入力して歩いたことないんだ!って思ったの。自分がその経験の違いに気づいてないことにもびっくりしたんだけど。
ラビアナ もう、日常が違いすぎてね。女性にとって当たり前すぎるけど、男性からしたら考えられないことしかないから、こういうことが起きているっていう声も上がってきてないものなのかなと思いますね。
小林 ちょっと話がズレちゃうかもしれませんが、女性差別って女性の問題じゃなくて、加害する男性の問題なんですよ。
ラビアナ そうそう。
小林 女性差別を女性がする場合もあるんだけれども、なぜ私たちが夜道を歩くときに後ろに気をつけなきゃいけないのか、物を買うのに男から舐められなきゃいけないのかって、その男性の問題なんですよね。これだけいろんな女性たちが声をあげよう、発信しよう、連帯しようとしても、加害する男性が変わらなければ何も変わらないので、男性に、自分たちが変わるべきなんだって気づいて欲しいです。
ラビアナ そうですね。女性が被害に遭った数はデータとして出るけど、実際に何人の男性が加害をしたかっていうデータは全くないんですよね。加害者がいるから被害者がいるわけであって、加害者側がすごく見えないものになってしまってる。ネットでも、#NotAllMen というハッシュタグが立ち上がって、男が全員加害者じゃねーよ!みたいな…そもそもそれは論点がズレすぎてて、そういう話をしているんじゃないと、加害者の話をしてる、と。女性が被害に遭うことが多く、実際どういう人が加害をしてるかっていうのをデータで見ると、ほとんどの場合が男性なんです。男性全員が加害者というのではなくて、加害者がほとんど男性っていうことなので、皆さんにもぜひ知っておいてもらいたいことだなと思います。
ラビアナ 次の体験行きますか。父の兄弟の1人が、兄の名前は呼んでいるのに私の名前は呼んでくれない
菖 これを読んで私は“82年生まれ、キム・ジヨン”という本を思い出しました。
小林 私もです。
菖 そうですよね。その本は歴史や日常から女性の名前が消されることに対するミラーリングとして、登場人物の女性は全て名前を書いて、男性は全て名前を書かないという書き方になっている小説なんですけど、そういうことがいろんな歴史を振り返ってもあると思うし。小学生向けの伝記が並んでるのを見た時に。キュリー夫人だけなぜ夫人って書いてあるのかって言ったら、キュリー夫人だけ名前が消されているから、夫(おっと)人(ひと)という表記しかないわけで。そういう風に女性の名前が消されるっていうのは、あらゆる歴史で起きているし今も起きてることだなって思います。
小林 またちょっと問題点を増やしてしまうことではあるんですが、私の体験で言うと、アルバイトしていたときに、男性のお客さんで私の名前は覚えるけど、他の男性スタッフの名前は覚えようともしない、みたいな。私はただ同じようにアルバイトとして働いてるだけなのに、私のことを記号として見てるからセクハラ心で名前を覚えて、他の人には名前を聞かないっていう、逆のこともあるなって思ったんですよね。でも共通しているのは、女性のことを中身を見ずに記号として見ているから、名前を消したり、聞き出したりするんだろうなーって感じました。
ラビアナ そうですね。昔の考え方的にまだ根強いと思うんですけど、女性の子供が生まれたら、結局は他所に行くみたいな考え方があって、日本で長男が重宝されるっていうところからくるものなのかなと思っていて。おもしろいのが、漢字にもすごく現れていて、嫁(よめ)は女偏に家、妻(つま)は女が下だったりとか、そういうところからも、結局女性は下に出るものだっていうのが染み付いているのかなって思いました。
菖 確かに、私もよく言われてました。静岡県出身で大学通うために上京してきてるんですけど、実家で「娘さんだから帰ってきてくれるからいいね」みたいなことを親が言われてるっていうのを聞いて、その度にたぶんうちの娘は帰ってこないと思いますよって答えてるって父に言われて、ナ〜イス!って思いました。
ラビアナ 本当にびっくりしますね。自分の家族内でもこういうことが起きているってわかる話だったと思います。
菖 すごくたくさん体験談が集まっていて、また2回目もきっとできると思うので、ひとつひとつこうやって丁寧に話していけるのがいいことかなって私は思っています。
ラビアナ そうですね。男性として生活してると想像を絶するくらいのことだし、こんなことが起きてるんだって新しい発見になれば、残念なことではあるんですけど、こういうことが可視化されればなと思います。
小林 こういう話を聞いてシス男性はどう思うの?わからない… よかったらコメントください。私たちにとってはすごく当たり前のことなんだけど、どう思うんだろうって気になりますね。
ラビアナ 次の体験です。ジムに通っていて女性というだけで男性からジロジロ見られる。肌はなるべく出さないようにしているけど、でもトレーニングをするためにはタイツなどシルエットが出やすいような服を着る必要がある。望まないタイミングで性的消費されているなと感じることがある。性的消費の目線や、アリ/ナシを勝手に判断されていることはわかっている。こういうことを知り合いの女性に相談しても自意識過剰じゃない?と言われることがあって傷つくので、相談相手を慎重に選ばないといけないし、相談自体できないことがある。
小林 私もキックボクシングに通っていたんですけど、友達とそういう話をしたことがあって。あるあるだよねと思ったし、アリナシをジャッジされてるっていうのは、本当にわかるじゃないですか。アリと判断されるのも嫌だし、ナシと判断されるのも嫌なんですよ。とにかくジャッジされたくないんですよ。私はキックボクシングだったので、1対1でコミュニケーションが発生するんですが、だからこそ余計に、褒め、アリだから良いだろうみたいな感じで、ジャッジされる経験は本当に嫌だった。それはお客さんからもだし、トレーナーからもそういう視線を感じたことはあります。
菖 えー!トレーナーさんからですか。
小林 うーんとね、はい、ありました。何これ、デート?って思ったことあります。たまたま空いていてマンツーマンになるときがあるんですよ。最初はラッキーだなと思っていたんだけど、段々、下の名前で呼んでいやがる…!とか、あります。身体的な接触とかはないけど、次に来た私より高齢の方とは明らかに対応が違うとか、そういう経験はあるんですよね。もちろん、コミュニケーションがなくても、ただ鍛えに来てるだけ、やりたいことをしているだけなのに、相手から勝手にジャッジされてるなって感じるのはかなり不快だが、超残念無ことにあるあるだと思います。で、それでこっちがそういう服着てるのが悪いんでしょってなるんですよね。
ラビアナ そう!それってまさにセカンドレイプとかに繋がってくるけど、どういう服を着てたか、どういうことをしてたかって本当に関係なくて。データにもあるのが、性被害を受けた人のほとんどがあまり肌を露出しない格好そしていることが多いみたいで、おとなしそうな格好をしている人の方が、警察に言わないだろうなっていうマインドで加害する人が多いみたいです。
菖 私も個人的な統計でそう思ってたんですよ。適当な服着てる時の方が数段痴漢とかに遭うなーと思ってたんですけど、でも、この間の小田急線の事件を見て、勝ち組の女を狙って手を出すっていうマインドの持ち主もいるんだなっていう、まあ当たり前のことなんですけどこれだけ性犯罪者がいたら。そのことに私は驚いたというか、武装の方法ないじゃんみたいな。女性にとってはある意味、美しく着飾ることが強さの証みたいになる部分もあって、それが逆に防犯になったりとかもして、そのことにも複雑な気持ちを抱いてたんですけど、そんなこともないな、みたいな。すごいぐちゃぐちゃの感情になりました。
小林 私もそれすごく感じてて、私は黒い服が好きとか、男が痴漢とかをしにくい見た目のファッションが好きなんですよね。あと、声がでかいし自分の意見をハッキリ言うタイプだから被害に遭いづらいのかなって思うんですけど、でも、被害に遭ったことはあるわけじゃないですか。女性が自衛のために自分の好きな格好をできなくなったりとか、ピンク着るのが恐怖になるなんて最低だなって思ったんですよね。服装とか関係ないんだなって思うのが、アルバイトとかでみんなと同じ服装をしてても被害に遭うし、何着てても関係ないじゃないですか。でも服装で本当の被害者を見極めるみたいなことが普通に行われていたりして。
菖 そうですよね。執拗に女性が悪いという方に持っていこうとするムード、なんなんでしょうね。
ラビアナ 結局は被害者がどういうことをしてたのか、被害者側の非を探そうとしてしまうっていうのがすごく強いなと思いますね。やっぱり、加害者側が100%悪いと。私がよく言われるのが、性器を出して歩いてる人だったらいいんじゃないのとか言ってくる人いるんですよ。それはその人がまた別の罪になるので、通報という対処をしてくださいと。相手がどんな格好してようと手を出していい言い訳にはなりませんというのは、強く言うようにしています。
菖 今の、性器を出してる人だったらいいんじゃないという、そんな発想の人の存在に恐怖を覚えるんですが…
ラビアナ これ、男友達と会話しているときに実際に言われたことです。
菖 そんなことを考える人もいるんですね…
小林 それ、小田急フェミサイドのツイデモのときも実感したことではあります。そんなこと言ってくんの?って意味わかんないけど、実在している…悲しいが…
菖 あと五分になってきたので、一旦ここで区切って締めのトークに入りたいと思います。
今小田急線の話出てましたが、私たちの#ikinokottaというアカウントが小田急線のフェミサイド未遂事件をきっかけに立ち上がった活動で、よかったら知っていただけるとありがたいです。小林さんから思いについて説明していただけますか?
小林 はい。小田急線内で起きたフェミサイド未遂事件の内容はニュースになって、皆さんご存知かと思うので内容は割愛します。犯人の動機のなかに『幸せそうな女性を殺してやりたいと思った』という証言があるんですよね。これは女性憎悪、ミソジニーが元になった犯罪で、それをあらゆる人が、あらゆるメディアが、『無差別だった/誰でもよかった』とか、女性というキーワードを消して報道していることに私は怒っていて。
今回の事件は、たまたま被害に遭われた方が生き残ったし、男性も被害に遭った方がいるのでフェミサイドではないと言っている方がたくさんいます。私の思いとして、女性憎悪によって殺されたという統計もとってない日本でそんな論はなんの意味もなくて、犯人に女性憎悪がなければ事件自体起こらず、男性が被害に遭うこともなかったと思います。この事件が起きてしまったことも悲しいし、この事件に対するバックラッシュもすごく悲しいことが多いんですよね。そのことに抗議したいと思い、個人的にいろんな抗議に参加したんだけれども、もっと女性差別に抗議する人を増やしたいと思って。あらゆる人が、自分のアカウントから抗議しやすいように、#ikinokottaを立ち上げました。
ルーツは、韓国で2016年に女性が狙われる同じような事件(江南駅女性殺人事件)が起こったんですね。そのときに、ポストイットが駅にたくさん貼られて、多くの女性がそこから声を上げ始め、女性の意識が代わり、韓国のジェンダーギャップ指数も上がりました。それに日本も続きたいし、隣の国で、私たちも同じ想いだということを表現したくて、ポストイットを使って投稿するというやり方にしてみました。
菖 今までの話を聞いた感想や、何か思いがあればぜひ#ikinokottaでポストイットを使って参加してくださると嬉しいです。よろしくお願いします。
ラビアナ 女性が刺されたり、殺されたりしないと女性の権利は向き合われない現状があって、命を失って、すごく大きな傷やトラウマを抱えてからしか見向きされないのは本当におかしいことだと、今聞いてくださっている方にもわかってほしいですね。